第55回秋山杯定期戦のため一宮市光明寺公園競技場に集合された旭丘･一宮両高校の選手諸君並びに応援の皆様方に定期戦創設当時のことを述べてその由来や意欲をお伝えしたいと思います。
　秋山善次先生は昭和21年1月から23年まで一宮中学校･高校に校長として在任後、第一高校（旭丘）へ転任され、僅か数ヶ月で新制の東中学校へ転出されました。※GHQの命令によるものです。
　先生はかねがね｢高校生ぐらいの年齢の生徒が一番好きだ｣と言っておられ、この転出は断腸の思いだったと察します。
　両校の校長として在任中は生徒指導に情熱を傾け、敗戦に打ちのめされ茫然としている生徒たちに希望と生きる勇気を与えて我が国の復興に立ち向かう気力を持たせ、生徒に敬慕されました。
　この頃、愛知県でラクビー部のある学校は旭丘･一宮両校に名古屋市にもう2校と4校しかなく、愛知県ラグビーフットボール協会としてもラクビー普及のためラグビー部をもつ高校を増やしたく、考え出されたのが旭丘･一宮両高校の定期戦でした。旭丘高校ラグビー部顧問小松先生は協会と関係があり、先生のお力があったことは確かです。
　この話が一宮高校に伝わった時ラグビー部員は挙って名称を｢秋山杯｣とすることは希望し、その名称が今回まで54年も続きました。
　第一回定期戦は昭和23年11月25日、一宮高校グランドで秋山先生をお迎えして伊吹颪の吹く中、小松先生の笛で戦われ、13対11で旭丘高校の勝利に終わりました。
　以後、学校当局の理解、OB諸氏の弛まぬ尽力により本日第55回の定期戦が行われるまでになったのです。
　両校の校風にはそれぞれ特異なものがありますがそれはともに高校教育に欠くべからざるもので、この両校が定期戦を戦い続けることが高校教育に一つの指針を示すものだと思いますが如何なものでしょうか。